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大鷲に捕えられた侍

加賀のあたりにあそびし浪士、大鳥につかまれて空中を行くことふた時ばかりを経て、いづことも知らぬ山中にして、大鳥この人をつかみながら下りて休みたり。この隙間をみて腰刀を抜きて、つかみたる手を切り、つひに刺し殺し、片翼を切りてみれば、片々にてわが身隠るるほどに余れり。 今回の舞台は箱根です。 加賀というから今の石川県、このあたりに遊んでい

一斗を飲みし人

柊屋甚右衛門は、かくれなき大酒にて、そのころ今一人何とやらん言へる禅門とこの両人は、一席に一斗椀の酒を飲むと言ふこと、院御所叡聞ましまし、両人を召されけるに、柊屋は余のこととて召されなば面目たるべけれども、酒にての誉れは恥なりとて、所労を申し立て参らず。今一人は召に応じて院参し、一斗の酒を飲みしと や。 今回はちょっと考えさせられるお

真の武士

ある問ひて曰く、元和の初年のころのこととかや、甲州武田家の武士浪人となりて、町に借宅し居て、大家へ仕へんことを求むる者ありしが、年は歴れども望を遂げず。貧窮に迫りて餓死しけり。 死後に鎧櫃を開きて見るに、金子百両封じて軍用金と書きつけあり。武具馬具も貯へてありしとぞ。今回は『安斎随筆』から、武田家の浪人のお話です。 「ある問ひて」とい

曽呂利耳を嗅ぐ

ある時ご寵愛の松の樹枯れたりしを、秀吉公心によからず思し召しつるを、曽呂利伺ひ見て祝しけるは、 御秘蔵の 常盤の松は枯れにけり 己が齢を君に譲りて秀吉公御感ありて「よくこそ祝し申したれ、曽呂利に黄金とらせよ」と仰せありければ、 今回は曽呂利新左衛門のお話。『絵本太閤記』からです。 ある時、太閤秀吉公が大切になさっていた松の樹が枯れてしまっ

先祖伝来の封筐

先祖伝来の封筐予親友なる万年某語りけるは、同人家に先祖より伝はりし一つの封筐あり。上包みを解き見しに、「子孫窮迫の時開くべし」とあり。その頃万年至つて危窮なりしかば、「かかる時先祖の恵みを残し給ふありがたさよ。いざ開封なしてその妙計に従はん」と、今回は滑稽なお話です。「先祖伝来の封筐」この題だけでなにやらワクワクしてきますね。封筐